今回は、永井荷風の読む順番について紹介していきます。
永井 荷風
1879(明治12)年東京生まれ。高商付属外国語学校清語科中退。1903年より08年まで外遊。帰国して『あめりか物語』『ふらんす物語』(発禁)を発表。10年、慶應義塾大学教授となり『三田文学』を創刊。52年、文化勲章受章。59(昭和34)年没
BOOK著者紹介情報
【永井荷風×読む順番】小説とその他と全作品集めました

永井荷風の全作品を刊行順に紹介します。
【1902年】地獄の花
地獄の花 (岩波文庫)
巨大な富を有しながら社会から擯斥される黒淵家に、家庭教師として入った園子だが…。荷風の青春期を記念する、気魄に溢れた代表作。(「BOOK」データベースより)
【1903年】夢の女
夢の女 (岩波文庫)
貧しい家族のため、女中奉公から商人の妾、娼妓、待合の女将へと、つぎつぎに変貌をとげる元藩士の娘お浪。境遇に翻弄されながら明治という新時代の波間を必死に浮きただよう日陰の花のあわれさを、にごりのない抒情性をたたえた文体で照らし出す。(「BOOK」データベースより)
【1908年】あめりか物語
あめりか物語 (岩波文庫)
明治四一年、自然主義の文壇を一撃、魅了した短篇集。シアトル着からNY出帆まで、文明の落差を突く洋行者の眼光と邦人の運命が点滅する「酔美人」「夜半の酒場」「支那街の記」―近代人の感性に胚胎した都市の散文が花開く。『ふらんす物語』姉妹篇。(「BOOK」データベースより)
【1909年】狐
【1909年】ふらんす物語
ふらんす物語 (新潮文庫)
明治四〇年七月、二七歳の荷風は四年間滞在したアメリカから憧れの地フランスに渡った。彼が生涯愛したフランスでの恋、夢、そして近代日本への絶望―屈指の青春文学の「風俗を壊乱するもの」として発禁となった初版本(明治四二年刊)を再現。(「BOOK」データベースより)
【1910年】冷笑
冷笑 (国立図書館コレクション)
慶応義塾の教授としての活躍が始まる前に発表された長篇小説です。
【1911年】すみた川
すみだ川
明治から昭和にかけて長く活躍した文学者、永井荷風の小説。お豊には、大学を出し月給取りにさせたいと思う中学の長吉という息子がいた。しかし、いま彼は幼馴染の恋人、お糸が芸者になり自分から身も心も離れていくのを感じ悩んでいる。子供の頃、三味線を習うといいと言ってくれた伯父、俳諧師羅月もまた、恋の悩みがあったのではないかと思い出す。そんな折、街を徘徊していると、ある浄瑠璃に惹きつけられる。(Amazonより)
【1912年】新橋夜話
【復刻版】新橋夜話―永井荷風の花柳小説の名作② 響林社文庫
『新橋夜話』は、江戸末期から続く新橋の花柳界で働く芸者を書いた小品集で、明治42年から大正元年にかけて発表された12編をまとめたものです。花柳界に棲む芸妓を軸に、通ってくる旦那衆の諸相をさまざまに描いています。主人公の芸妓の描き方も一様ではなく、奥野健太郎氏は、「夜話の諸作品はことごとく狭斜の巷に題材を求めながら、紫嬌白嬬の趣はかならずしも一ではなく、あるひはこれを正筆に写し、あるひはこれを仄筆に描き、その筆致にも変化のあるごとく、また作者の位角もそれぞれ方向を異にし、作中の人物に満腔の同情と善意を傾けて惜しまない場合もあれば、極端に嫌悪の情を示してこれを斥けようとしてゐる場合もあり、後年の荷風文学に結集した霊敏な観察と技法とは、早くもこの集に実りをみせてゐる。」と書いています。それぞれ短編ながら、後の長編風俗小説のコンセプトに通じるものがあると言われており、花柳界に関わる人々の人間模様のきめ細かな書き方や、自然の美しい描写には感じ入ります。 本電子書籍は、昭和26年9月発行の河出書房市民文庫を復刻したものです。60年以上前の古書であるため、変色、シミなどの痕が残っている頁が少なくありませんが、その点はご容赦ください。より大きなサイズの画面でご覧になることをお薦めします。(Amazonより)
【1913年】珊瑚集
珊瑚集―仏蘭西近代抒情詩選 (岩波文庫)
ボードレールやヴェルレーヌなどフランス近代の詩人の作品から、荷風(1879‐1959)が深く自らの絵線に触れた詩を選んで、流麗な日本語にうつした訳詩集。甘美な恋愛をうたう一方で悪や死に魅かれる冷酷な心理、あるいは享楽主義といった荷風文学の諸要素が早くも表れている。巻末にフランス語の原詩を付した。(「BOOK」データベースより)
【1915年】日和下駄
日和下駄 一名 東京散策記
「一名東京散策記」の通り「江戸切図」を持った永井荷風が、思いのまま東京の裏町を歩き、横道に入り市中を散策する。「第一 日和下駄」「第二 淫祠」「第三 樹」「第四 地図」「第五 寺」「第六 水 附 渡船」「第七 路地」「第八 閑地」「第九 崖」「第十 坂」「第十一 夕陽 附 富士眺望」の十一の章立てに、周囲を見る荷風の独特の視座が感じられる。消えゆく東京の町を記し、江戸の往時を偲ぶ荷風随筆の名作。(「BOOK」データベースより)
【1918年】腕くらべ
【復刻版】腕くらべ―永井荷風の花柳小説の名作① 響林社文庫
大正時代の花柳界を舞台に人間模様を情緒豊かに描いた風俗小説の傑作で、荷風が当初、自費出版として発行したものです。主人公の駒代は二十代半ば過ぎの新橋花柳界の芸者で、身請けされた後、旦那に死別して出戻っていますが、この駒代を軸に、花街の人間関係を生き生きと描いています。全体に江戸情緒がにじみ出ており、自然描写も荷風らしく色彩感豊かで美しいものがあります。また、かなり濃密な性描写でも知られている作品でもあります。 この「腕くらべ」は、文化庁が二〇〇二年にスタートさせた現代日本文学の翻訳・普及事業(JLPP事業)の第一回翻訳作品として選ばれています。なお、本電子書籍は、中央公論社の昭和三十四年(一九五九年)六月初版発行の普及版を復刻したものです。(Amazonより)
【1920年】江戸芸術論
江戸芸術論
春信の可憐さ、歌麿の妖艶、北斎の硬質さ、広重ののどかさ―浮世絵の奥ぶかさや絵師たちのめざしたものを、図版にたよらずに、文章で論じつくした江戸芸術論集。浮世絵という小さな美を手がかりに日本の本質をさぐった一冊。(「BOOK」データベースより)
【1920年】おかめ笹
おかめ笹 (岩波文庫)
一切の抒情性を排し色欲と金銭欲にこり固った画家、元知事一家の醜猥さを滑稽小説に仕立てた特異な作品。(「BOOK」データベースより)
【1922年】雨潚潚
雨瀟瀟・雪解 他七篇 (岩波文庫)
『ふらんす物語』の諸篇を除けば、帰朝後の第1作といえる『狐』(1909年)から、敗戦直後刊行された『勲章』(1946年)まで、それぞれの時期の佳品9篇を収める。幼年期に味わった体験…そして老年に至っての心境を作品化したこれらの短篇からも、孤独を求め寂寥に堪えつつ書きついだ強靭な作家の営為を窺い知ることができる。(「BOOK」データベースより)
【1924年】麻布襍記
麻布襍記 附・自選荷風百句 (中公文庫)
永井荷風は大正九年五月、東京・麻布市兵衛町に居を移し、以来、洋館「偏奇館」に二十五年暮らした。本書は彼の地で執筆した短篇小説「雨瀟瀟」「雪解」、随筆「花火」「偏奇館漫録」「隠居のこごと」など全十四編を収める。抒情的散文の美しさを伝える作品集。「自選荷風百句」を併録する。(「BOOK」データベースより)
【1926年】下谷叢話
下谷叢話 (岩波文庫)
絶対の存在であった文学上の師鴎外の死に続き、「わが青春の夢もまた消えにけり」という痛恨事、関東大震災が荷風を襲った。翌年、45歳の荷風は、幼い一時期を過ごした下谷の家、そこに住んだ母方の祖父鷲津毅堂やその周辺の、時代の潮流に背を向けた幕末維新の漢詩壇の人々を、大きな共感をもって描く。(「BOOK」データベースより)
【1931年】つゆのあとさき
つゆのあとさき
「つゆのあとさき」は、谷崎潤一郎が、「昭和初期の東京を描いた記念すべき世相史、風俗史」と高く評価した小説で、銀座のカフェーの女給君江を主人公としています。関東の田舎から家出同然で、幼ななじみの京子をたよって上京し、銀座のカフェーの女給になります。通俗小説の流行作家である清岡進がパトロンにつきますが、清岡には、鶴子という妻がおり、かつては華族の人妻だったのを不倫によって自らの内縁の妻としたものでした。当時は純粋だったものの、今では俗物になり女遊びに余念がありません。しかし、君江が愛人ではありながら、自分に対して必ずしも心が向いていないことが不満です。たしかに君江は、言い寄る男と平気で同衾する奔放な女で、物や男に対する執着心が薄いところがあります。ある日、夜中に男と歩く君江を見つけて後をつけ、一夜を共にするのを目撃し、ショックを受けた清岡は、以来、復讐のために様々な嫌がらせを繰り返します。それを後で知った君江は、故郷に戻ろうかと思うのですが、そんな矢先、京子の元旦那の川島と再会しました・・・。清岡の妻の鶴子は、教養があって慎み深い女性で、清岡の父からは同情を持って労わられ、やがて渡欧の話が持ち上がることと並行して話は進みます。(Amazonより)
【1937年】濹東綺譚
濹東綺譚
明治から昭和にかけて長く活躍した文学者、永井荷風の小説。1937(昭和12)年から「東京朝日新聞」で連載が開始された。取材のために訪れた向島・玉の井の私娼窟で小説家大江匡はお雪という女に出会い、やがて足繁く通うようになる。物語は濹東陋巷を舞台に梅雨明けから秋の彼岸までの季節の移り変りとともに、美しくも哀しく展開してゆく。主人公の大江は作者の分身と考えられ、荷風の最高傑作とされる。(Amazonより)
【1946年】ひかげの花
日かげの花 (国立図書館コレクション)
「ひかげの花」は、重吉とお千代を主人公としています。重吉は、はるか年上の未亡人(と自らは称していたが、実際は妾をしていた)種子と長く同棲し、実質的に彼女に養われているに近い自堕落な立場に慣れてしまいました。種子の死後、家事手伝いに来ていたお千代とできてしまい、夫婦暮らしをはじめますが、種子の遺産も底を尽き、ここからお千代の私娼への道が、斡旋を内々の生業とするばあさんに導かれるままに始まります。お千代は秘密にしていたつもりが、重吉にはとうにわかっていて、重吉公認の私娼生活が展開していきます。重吉は、お千代が他の男に抱かれるのを想像し、かえって情慾が高まるのでした。やがて、検挙騒ぎから、話は更に意外な展開を見せます・・・。この小説は、荷風が滞米時代の経験を反映した『あめりか物語』に収録されたブロードウェー裏通りの売春宿の一日を綿密に再現している「夜の女」の中で、夫と示し合わせてパートで稼ぎに来る人妻の娼婦の話と重なるものがあります。(Amazonより)
【1946年】問はずがたり
【1946年】来訪者
来訪者 (国立図書館コレクション)
江戸情調を扱う随筆を精選。(Amazonより)
【1947年】勲章
浮沈 勲章 (荷風全集 第18巻)
【収録作品】 Ⅰ 浮沈 勲章 踊子 来訪者 Ⅱ 為永春水 冬の夜がたり ほか(Amazonより)
【1947年】浮沈
浮沈・踊子 他三篇 (岩波文庫)
昭和10年代の東京を舞台にして、ヒロインの起伏にとんだ日々を描いた『浮沈』、浅草の若い女性が逞しく生きる姿を活写した『踊子』。「蟲の声」「冬の夜がたり」「枯葉の記」は、散文詩の如き小品。戦時下に執筆され、終戦直後に発表、文豪の復活を告げた。時代をするどく批判した文学者・荷風による抵抗の文学。(「BOOK」データベースより)
【1948年】踊子
浮沈・踊子 他三篇 (岩波文庫)
昭和10年代の東京を舞台にして、ヒロインの起伏にとんだ日々を描いた『浮沈』、浅草の若い女性が逞しく生きる姿を活写した『踊子』。「蟲の声」「冬の夜がたり」「枯葉の記」は、散文詩の如き小品。戦時下に執筆され、終戦直後に発表、文豪の復活を告げた。時代をするどく批判した文学者・荷風による抵抗の文学。(「BOOK」データベースより)
【1950年】葛飾土産
【1980年】断腸亭日乗<1~6>
断腸亭日乗 01 〔はしがき〕
永井荷風(1879‐1959)は38歳から79歳の死の直前まで42年間にわたって日記を書きつづけた。断腸亭とは荷風の別号、日乗とは日記のこと。岩波版全集で約3000ページにのぼるその全文からエッセンスを抄出し読みやすい形で提供する。この壮絶な個人主義者はいかに生き、いかに時代を見つづけたか。(「BOOK」データベースより)